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こめすた保管庫
二次創作サイト「こめすた?」の作品保管ブログです。 ジャンル「有閑倶楽部(清×悠)」「CITY HUNTER(撩×香)」など。
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2024/05/17 (Fri) 15:49
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2015/03/02 (Mon) 23:55
ある日の清四郎。某掲示板投稿作。

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5:00a.m.
 枕元にぬっと手を伸ばす。そこにあるのは小さな電波時計。
 常に電波で以って明石の日本標準時に自動的に針を合わせる正確無比な時計である。
 もちろん、目覚まし時計として彼はセットしていた。
「ん。今朝もちょうどいい時間ですね。」
 一応目が覚めなかったときを考慮して6:30にセットされた目覚ましが、しかし鳴ることは年に一度程度だった。
 いつもこの時刻に彼は目を覚ます。

 むっくりと起き上がると、乱れた前髪がふわさ、と顔にかかった。
 あっふと一つあくびをする。
 うん、と一つ伸びをすると朝の日課を行うべく着替えに手を伸ばした。

 朝っぱらから道着に着替えてまずは町内を走る。そろそろ配達の最後の区画あたりにさしかかった新聞配達の中年男性と笑顔で挨拶を交わす。
 さすがに東村寺は遠いので、別の近くの神社の石段を駆け上り、上で一休み。
 そして降りてくると自宅の庭へと戻る。
 そこでしばし型の稽古。
「フムッ」という気合とともにしゅっと掌底が空を切る音が響く。
 続けてぶん、と長い脚が頭より高い位置で弧を描く。
 最後に「ひゅーーーーっ」と長く息を吐く。常人であれば酸欠になって失神しかねないほどに長く長く。
 最初と最後に丹田に気を込めるためにこの呼吸を行う。
 それは子供の頃、和尚の下で稽古を始めたとき、受身よりも何よりも先に最初に教えられたことだった。

7:00a.m.
 シャワーを浴びて汗を流すと制服に着替える。
 もう時間が押してきているために、朝食をとりながら新聞を開く。ここでまず1紙目。登校してから生徒会室であと何紙かに目を通す。
「やだー、また新聞読みながらご飯なんか食べて。」
「どうせこのあと姉貴が持ってっちゃうんでしょ?」
 姉・和子は毎朝新聞を大学に持っていき、講義室で優雅に読むのである。
 ちなみに母がその地方欄つきの新聞を読むのは姉が帰宅してから。朝は残された経済新聞を読む。
 母が株取引に必然的に詳しくなってくるわけである。
 ばさばさと読み終えた新聞をきれいに畳み、姉のほうへと差し出した。
「トイレで読まないだけましだと思ってください。」
「当たり前よ!」

7:30a.m.
「おはようございます、野梨子。」
「おはようございます、清四郎。」
 隣家の少女は今日も時間に正確だ。ぴったり同じタイミングで門を出てきた。
 幼稚舎の頃から変わらず繰り返される習慣。自分が守ってやらねばと思いながら始めた習慣(初日にいきなり挫けそうになったのだが)。
 そのまま学園までの道を歩く。さほど遠くはない。しかし野梨子の歩みに合わせて毎朝徒歩15分はかかる。
 これが都立高校などなら自転車で通学するのが妥当な距離なのだが、聖プレジデント学園に自転車通学はありえない。車での通学がほとんどだ(可憐などは電車通学だが)。
 ちなみに野梨子が自転車に乗れないからという理由ではない。「練習すれば乗れますわ!」と言い張るのである。

7:45a.m.
「おはようございますわ、白鹿さま、菊正宗さま。」
「おはようございます。」「おはようございます。」
 学園が近づくにつれ、様々な生徒から声をかけられる。普段は彼らに近寄りがたいと思っている一般生徒たちもこのときばかりはさらりと声をかけるチャンスなのだ。
 そして彼らに声をかける少ない機会にとびつく中等部や小学部の生徒たちも同様に声をかけてくるのだった。
 背後で車のドアがばたん、と閉じられる音がする。ついでにそこらの女子生徒の歓声も聞こえるので、振り向かずともその主は知れた。
「おっはよー!お二人さん!」
 野梨子はその声に満面の笑みで振り返っている。相手も輝かんばかりの笑顔を振りまいているのに違いない。
 清四郎は眩しそうに女性二人のほうを見た。
「おはようございます、悠理。」
 ぴったり野梨子と同時に、彼女に挨拶を返した。
 そして車止めのほうではもう一台、女生徒の視線を集める車が止まっているようだ。
 さざめくような女生徒たちのしゃべり声の波動が、正門近くの空気を揺らしていた。
「やあ、おはよ。」
と車から降りてきた金髪の青年が、その長い髪をさらり、となびかせながら片手をすちゃっと挙げた。
 その気障な姿にまたも女生徒の悲鳴にも似たため息が溢れるので、清四郎は苦笑した。
「今日は可憐、いねえなあ。」
と悠理があたりを見回している。
「どうでしょうねえ?もう生徒会室にいるかもしれませんよ。」
 可憐は一番電車が混む時間を嫌う。だからこの時間かそれより早く、そうでなければ大遅刻の9時過ぎに登校してくるのが常だ。
 何しろ雨が降ったら靴やコートが濡れるのがイヤだと言って学校を休むくらいなのだ。
 そして今日は早めに彼女は生徒会室にいた。驚いたことにピンク頭の副会長もそこにいる。
「珍しく早いですね、魅録。」
「んあ?ちょっと昨夜はダチがもめてな。片付いたのが朝だったから寝なおすのも面倒でそのまま来ちまった。」
と、魅録はトロンとした顔でテーブルに頬杖をついたまま説明した。
「結局朝までかかったのかよ。」
と悠理が呆れたように言う。彼女もその騒動の現場にいたようだ。(そして逃げたらしい。)

8:30a.m.-0:15p.m.
 仮眠室で寝るように皆が言ったが、魅録は「一限から小テストだから。」と無理やり授業に出て行った。二限目から寝るそうだ。
 清四郎はいつものように授業を受ける。
 ああ、今日も世界史の教師がびくびくしている。どうも先日、彼の講義内容がおかしいと指摘してから妙な敵愾心をもたれてしまったようだ。
 しかし明らかに彼の言っていた教科書外のマメ知識という奴は怪しげな俗説が多いのだ。教師たるもの史料を複数比較検討してその共通性、客観性を評価してから生徒に教えてほしいものだ。
 数学教師はいつものように解説の意味がわからぬ生徒のために清四郎の説明を求めてきた。
 化学の実験ではあまり清四郎は口も手も出さない。彼が手を出してしまってはすぐに終わってしまって同じグループの生徒のためにならぬためだ。
 危険な事態にならないようにだけ注意をはらいながら時折アドバイスを与える。手順も他の生徒に考えさせる。
 そして昼食前の現代文。この小説はすでに読破している。だが授業では初読のときとは違う味わいを噛み締める。読み飛ばしていた人物の心情などが取り上げられたりするので面白い。

0:20p.m.
 ようやく目覚めたらしい魅録が似合わなくも全員分の茶を淹れて待っていた。適当にあった茶葉に湯を注いだだけという感じはしたが。
「魅録ちゃーん、怒ってる?」
 いつものように貢物の弁当を両手一杯に抱えた悠理が、珍しくおずおず、と言った調子で生徒会室に入ってくる。
「あー、なんのことだ?」
 昨夜、騒動の現場から逃走した悠理のことを見当違いに怒り続ける魅録ではない。
 どうせ喧嘩場ではない現場に悠理がいたところで大して役に立たないからというのもあるが。
「それでな、清四郎、そいつらの話なんだが・・・」
と、魅録はちょいちょいと清四郎を手招きして話を持ち掛ける。
「ふむ・・・そういうことですか。それはそのお友達の知り合いとやら、お仕置きしたほうがいいかも知れませんね。」
 聖プレジデントの他の生徒によからぬことをたくらんでいるとあってはね。
「暴れるんならあたいも混ぜろ!」
と、悠理が横合いから口を挟んだ。
 このところ、悠理を初めとして有閑倶楽部の連中がいるとわかってて聖プレジデントの生徒にちょっかいをかけてくるものはほぼ0に近い。
 チンピラ狩りも親から禁止された悠理は欲求不満が溜まっているらしい。
「もちろん、悠理にも働いてもらいますよ。」
 にっこり笑った清四郎に、他の連中は今夜のコトが済んだ後の悠理の姿を想像し、少しだけ彼女に同情した。
 当の悠理はその悪魔の笑みにも気づかずににこにこと弁当を平らげている。いい加減に学習しろ、と4人は苦笑した。

1:30p.m.-3:30p.m.
 5限目は音楽。今日は実技ではなく音楽鑑賞。作曲された当時の歴史背景や作曲家個人の人生などを思いながら曲を噛み締める。
 最後は体育。休み時間が10分あるとはいえこの移動はちょっときつい。清四郎にとってはなんでもないが、他の連中はいつも体育の開始時にすでに息が上がっている。
 ここ2週間ほどは陸上競技をやっている。他の者たちのフォームを観察して修正させてやるのが清四郎の目下の役割だった。
 そして一日の授業が終われば、教室の掃除を済ませて放課後だ。

5:00p.m.
 生徒会室での打ち合わせを簡単に済ませると一旦それぞれの家に帰宅。清四郎はいつものようにポロシャツにチノパンを合わせて上着を羽織った。

6:00p.m.
「よお。お前ら聖プレジデントの生徒に手え出そうなんざ、ふざけたマネしてくれるじゃん。」
 にやり、とドピンクのライダースーツを着た女が笑んだので、男たちは色めき立つ。
「う、うるさい!お前らには関係ねえだろ!」
「関係あるんだな、これが。」
 バイクに跨ったピンク頭の男もハンドルに頬杖をついてぺろり、と唇を舐める。
「有閑倶楽部をご存知ありませんか?」
 一人離れた物陰で腕を組んで壁に背を預けた男を、一同はぎょっとして見つめる。
 そして人相の悪い男たちのリーダーが叫ぶ。
「ひ、ひるむな!相手は3人だけだ!」
 その声に弾かれたように押し寄せる奴らもしょせんは素人。
 ヤクザやマフィアさえも相手にしたことがある(望んだわけではなかったが)彼らには準備運動程度の相手だった。
「軽い軽い。」
と言いながら次々と飛び蹴りをかます悠理を清四郎は後ろからにこやかに見ていた。

7:00p.m.
「こら!清四郎!一人で高みの見物しやがって!」
 雑魚ばかりとはいえかなりの人数を相手にして汗だくになった悠理が文句を言う。
「ここのところ退屈してたようですからね。思う存分暴れられて嬉しかったでしょう。」
 にこやかに笑む清四郎に、魅録は苦笑し、悠理はいきり立った。
「この横着モン!」
 えいくそ!腹減ったぞ!と怒鳴る悠理の頭を撫でながら、
「はいはい。夕食はおごりますから。」
と言う清四郎に、悠理は、
「当たり前だ!」
と睨み返した。
 清四郎は魅録のバイクの後ろに乗り、悠理はやっとの思いで免許を取って買った自分のバイクに跨った。
 どうせ彼女のご機嫌具合を予想した残る3人の仲間が彼女好みの店をキープして待ってくれているはずだ。悠理が怒ることも予想範囲内なら、食い物で懐柔されることも充分に予想範囲内だからだ。

9:00p.m.
「あら、お帰りなさい、清四郎ちゃん。」
 リビングに入ると母が顔だけ振り返って言った。
「なんだ、また出入りだったのか?」
 珍しく早く帰宅した父もいる。
 清四郎は口の端を片方だけにまりと上げて両親に言う。
「別に出入りというほどのことではありませんでしたよ。いつもどおり、です。」
 その平然とした顔に、菊正宗修平氏も頷いた。
「まあ、いつもどおりだったようだな。」

 風呂に入り、趣味の本を読んで11:00p.m.に就寝。こうして彼の平穏な一日は終わる。
(ちなみに予習や宿題といったものは学校で授業中に済ませている。)
(2005.1.12)(2006.4.30加筆修正)
(2006.4.30公開)
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