2015/03/06 (Fri) 22:45
そっとドアノブを握る。
男の喉仏の上を汗が滴り落ちる。
そっと息を詰める。
ドアの向こうは静かだ。大丈夫。
そうだ。だってこんな時間なのだから。
時計などまずしない男だが、今の時刻は知っている。
午前3時。
そうだ。あいつは眠ってるはずだ。
だから俺は迷うことなくこのドアを開ければいい。
男の喉仏の上を汗が滴り落ちる。
そっと息を詰める。
ドアの向こうは静かだ。大丈夫。
そうだ。だってこんな時間なのだから。
時計などまずしない男だが、今の時刻は知っている。
午前3時。
そうだ。あいつは眠ってるはずだ。
だから俺は迷うことなくこのドアを開ければいい。
だが、ドアの向こうではやはり女が息を詰めていた。
ノブを握ってる?
躊躇しているのだろうか?
自分にはあの男が消した気配を探ることはかなりの困難だ。
だが、わかる。男はドアの向こうにいる。
壁の時計の夜光塗料が緑色に光る。
さしている時刻は午前3時。
明日の仕事に差し障るから本当は眠りたかった。
でも眠れなかった。
ドアの外にいる男のせいで眠ることなんかできなかった。
迷うことは、ない。
そうだ。迷ったらダメだ。
ためらったらダメだ。
今はこのドアをそっと開ければいいんだ。
さあ、迷わないで。
ためらうことなんかないのよ。
あなたが入ってきたら、あたし、過たずにあなたの方へと飛んでいくわ。
ドアノブが音もなくゆっくりと回る。
ごくり、と喉が音を立てそうになった。
二人、ともに手に力が入った。
ドアが、開く。
ふっ。
「え?」
と男は肌を刺すような殺気を感じた。
しまった!
「え?」
と男は肌を刺すような殺気を感じた。
しまった!
「ふげえええええ。」
「撩!男の依頼から逃亡してツケで飲みに行くとはいい度胸してんじゃないの。」
すでに100トンハンマーの下で手足をぴくつかせている男の頭を女は小突いた。
「か、香ちゃん・・・夜更かしはお肌に悪いわよ・・・」
と男は切れ切れに言う。
「そうね。今からたっぷり寝かせてもらうわね。お・や・す・み。」
ばたんと乱暴に閉められたドアから、ドアノブがごとり、と落ちた。
「結局今夜もこうなるのね~・・・」
男は玄関先、ドアの外のコンクリートの上、ハンマーの下で今夜の眠りについたのだった。
「撩!男の依頼から逃亡してツケで飲みに行くとはいい度胸してんじゃないの。」
すでに100トンハンマーの下で手足をぴくつかせている男の頭を女は小突いた。
「か、香ちゃん・・・夜更かしはお肌に悪いわよ・・・」
と男は切れ切れに言う。
「そうね。今からたっぷり寝かせてもらうわね。お・や・す・み。」
ばたんと乱暴に閉められたドアから、ドアノブがごとり、と落ちた。
「結局今夜もこうなるのね~・・・」
男は玄関先、ドアの外のコンクリートの上、ハンマーの下で今夜の眠りについたのだった。
(2004.8.20)
(2004.8.31公開)
(2004.8.31公開)
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